Rock Vocal Tips

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正しいロックの歌い方なんて存在しない

      2017/04/29

思ったこと

rockvocal

個人的に、「ロックシンガー」の「ボイトレ」ってなんだか違和感があるなあ、と感じることがあります。
たとえば、「正しい歌い方でロックを歌いましょう」って言い方は、それだけでなんだかロックじゃない気がしませんか?
とにかく酒やら薬やら不摂生であるのがロック、みたいな。

一方で、ロックのスーパーボーカリストをカバーしようとするとき、とてもトレーニングなしじゃ歌えないものがあるのもまた事実です。

本日はコラム的に、「ロックの歌」ってなんだろうか、ということを考えてみたいと思います。

ミック・ジャガーは「歌が下手」なのか


ミックといえば、かの偉大なるローリング・ストーンズの不動のフロントマンですが、その歌声はイマイチこう捉えどころがなく、音程もうまく当たっていない気も・・・有体に言って、「下手」なのではないか、という評価が多い気がします。

じゃあオジー・オズボーンはどうでしょうか。

レミー・キルミスターはどうでしょう?

・・・うーん、何とも独特な歌声ですよね。超かっこいいですけど。

ミック・ジャガーに話を戻します。
彼は歌が下手なんでしょうか。確かに、ピッチや声域といった紋切り型の歌唱技術の側面から見たとき、「下手」と思う人がいても不思議ではありません。
しかしながら、ローリング・ストーンズというほとんどロックのオリジネイターみたいなバンドで、何十年も同じように「カッコよく」あり続けるミックは、ロック的な観点から言えば「最高に歌が上手い」と言わざるを得ません。オジーだってレミーだって同様です。

ロックは今のところまだクラシックではありません。
過去の名作を譜面どおり高い技量をもって忠実に再現することを求められる声楽家とは異なり、青臭くいえば、オリジナリティある自己表現で人を感動させることが許された世界なのです。

ロックシンガーが辿る道筋

さて、もしあなたがボーカリストでここまで読んだとして、「じゃあこれからロックのボーカルをやるヤツはどうすりゃいいんだ」と思う人もいるかもしれません。
ぼくが考えるに、大きく2つの道筋があります。

1.「適切なロックの歌い方」を探る

幸いにもぼくたちの生きるこの時代までに、すでに多くのロックシンガーがその可能性を追求してきました。なので、彼らの辿った道筋を辿り、その歌い方に自らを投じていくことが、「適切なロックの歌い方」を体得する一番の近道となります。

あなたが「ロックを歌いたい」と思うとき、きっと思い当たる「真似したいシンガー」がいるはずです。たとえば、ぼくはゴリゴリのハードロック・ヘヴィメタルの面々のような歌声を手にすべく日々シャウトして過ごしています。
他にも、ロックンロール、パンク、オルタナ、メロコアやハードコアあるいはシューゲイザーからインディまで・・・それぞれあるうちから「適切なロックの歌い方」を選択できます。それにあわせ歌唱技術を磨いていくことで「ロックシンガー」となりうるのではないかと思います。

2.自己表現の可能性に賭ける

パラダイムシフトという言葉があります。既存の理論体系が全く変化してしまうような、そんな概念の変化を表す語です。
ロックの歴史はまさしくそうで、たとえばカート・コバーンの歌声はそれまでのLAメタル勢のグラマラスなハイトーンボーカルを駆逐しました。その後、ヴィンス・ニールのようなボーカリストがメジャーなロックバンドで活躍したかといわれればご存知の通りそんなことはありませんでした。「ロックの歌声」という概念そのものを書き換えてしまったのです。

すでに多くの表現方法・歌い方が試されてきたとはいえ、ロックはやはり自己表現の音楽、というロマン的な側面があります。

そんな自己表現の可能性に賭け、だれのカバーでもなく、あなた自身の声で歌ったとき。
多くの場合は「ただの勘違い野郎」で終わってしまうことでしょう。でも、もしかしたら、あなたはロックの世界を変えてしまうかもしれません。

何か目標の声があるのであれば、それに応じた練習をつむべきです。
でも、そうしなくても、自分自身の声が世界を変えてしまう、そんな可能性がわずかながらもあるのもまたロックなんです。
「そうあってほしい」という願望かもしれませんが。

ではまた。