Rock Vocal Tips

海外ボイトレ情報ほかロック歌唱研究ブログ

喉を傷めないデスボイス:フォールスコードスクリーム(false chord scream)の出し方

      2017/07/20

ボイトレ情報

スクリーム・・・エクストリームなメタル・ハードコア等では必須教養科目ですね。明らかに普段の生活の中では聴けない、凶悪な魂の叫びは聴く人の心を大きく揺さぶります。
スクリームしているヴォーカルも人相の悪い方が多く、「きっと人を1人2人殺したりしないとあの声はでないんだろうな…。」と思っている一般リスナーの方も多いはず。

・・・まあそれは言いすぎにしても、相当な喉のダメージと引き換えに叫んでいるのか、生まれながらにそういう声なんだろうな、などとぼくは考えておりました。
しかし、実はスクリームにも理論的な「発声方法」があり、この方法で発声すれば喉を傷つけることなくスクリームできるそうなのです。

今回ご紹介するRocky Music Studioの動画では、メガネ女子のボイストレーナーさんが凶悪なスクリームを披露しながら理路整然と「喉を痛めないスクリーム≒false chord scream」について説明してくれています。動画に沿って追いかけていきましょう。

スクリームの下準備

1.ウォームアップ

ウォームアップを30分くらい、通常の歌唱時と同様のものを行います。
動画では具体的に特にしていませんが、リップロールやタングトリル、あるいは以前ご紹介した「喉を開くエクササイズ」なんかがよいかもしれません。
決して楽しいものではありませんが、運動の前の準備体操と思ってやりましょう。

2.腹式呼吸

破壊的なスクリームも基本的な歌唱と同様に、横隔膜のサポートが必須です。
喉を開き、力まずに保つことが、スクリームでも大変重要なのです。腹式呼吸についてのエントリーは以前書きましたので、こちらで復習しておきましょう。

3.above the pencil

これは動画独自の概念かもしれません。歌・スクリームとも有用とのことです。

スクリームする際、「喉は使わない」という意識が重要です。
その場合、すべての音を、喉で作る、というよりは、こめかみ、頭のあたりで作る、という意識付けが必要なのです。

このとき有用なのが「鉛筆」を口辺りに水平にあるように想像するエクササイズです。
歌うときにせよスクリームするときにせよ、この水平なラインを基準に、高いときは上、低いときは下です。

このとき、「鉛筆を乗り越えて」発声する感覚があれば、高音のスクリームを行うことが容易になります。

ハイピッチでのスクリームは高い高音の倍音を加えることが必要で、このとき、喉は使わずに「鉛筆を乗り越える」ように発声することが重要です。

喉を痛めないスクリーム:”false chord scream”

喉を痛めないスクリームの方法を多くの人々は知らない、と言ってますが、これはどんな方法なのでしょうか。
動画内では、「false chord(cordとも書きます)」、つまり「仮声帯」を使ったスクリームである、という様に言われています。

1.トゥルーコードとフォールスコード

トゥルーコード(声帯)は普段しゃべるときや、通常歌うときに使います。
一方、フォールスコード(仮声帯)はスクリームするときに使います。

図で見てみましょう。


引用:http://book-med.info

左が発声時、右が呼吸時の図だと思われます。通常、声帯が閉じ、呼気に触れて震えることでしゃべり声や歌声が発声されます。一方、フォールスコードスクリームでは、声帯の外部にある、仮声帯を使用して音にします。確かに、通常でいうところの「喉」は使わないわけですね。

ですので、スクリーム時に喉を痛めているときは、正しくフォールスコードスクリームできていない、ということになります。

2.フォールスコードの見つけ方

普通の生活では用いない仮声帯ですが、使い方の足がかりとなる発声があるようです。

例えば、怒っているときの唸り声や、咳き込むときの声などです。(お姉さんのデモンストレーションが聞けますが、いずれにせよ既に邪悪な声してます・・・)
どうも、他に見つけ方がないようですので、これで試してみるほかないようです。

喉が痛い場合はフォールスコードの使い方が間違っているので、改めましょう。また、喉を傷めないよう細心の注意を払って 1日5−10分で練習してみましょう。

3.フォールスコードスクリームの練習

晴れてフォールスコードの使い方が見つかったら、自身で使えるミドル〜ハイトーンの音域で、スケール練習します。

ハイクリーンの倍音を活用することを忘れずに、母音は「a」または「i」の形にします。(「o」はロウピッチのスクリーム(グロウル)に使うようです

実際、仮声帯を使ったスクリームでは、そのピッチとトーンは口の形や喉の形に依存します。
こちらも、細心の注意を払って、1日5−10分の練習をしましょう。

最終的には、低いピッチのスクリーム(グロウル)から、ハイピッチのスクリームに、自然につなげられるようにしましょう。(凶悪さが増しますね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

スクリームの領域は何か(たとえば、通常の発声)を犠牲にしないと得られない技法なのだと思っていましたが、「仮声帯」をしっかりと活用出来る技術があれば、しっかりと通常の発声と共存可能とのことです。

個人的には目からウロコだったのですが、メロデス、メタルコア勢にとっては常識だったでしょうか・・・。

また、スクリームといえど、腹式呼吸や、低音ー高音の発声方法など、既存の発声技術の基盤の上に成り立っていることもわかりました。

いずれにせよ、綺麗なお姉さんが邪悪なスクリームを説明してくれているのを見て、なんだか説得力が増しますね・・・!仮声帯、ぜひ開発しましょう。

ではまた。

10/18追記

なかなか出来るようにならないので、東京近郊でデスボイスを教えているいわお (@burn_the_sky)さんのレッスンを受けてきました。その模様はこちら↓

デスボイス専門ボイストレーナー・いわお(@burn_the_sky)さんのレッスンを受けてきました