ハイトーンのシャウト:高音ベルティングの活用方法
2017/04/30
「ベルティング三部作」の最終章です。過去の記事は以下から。
第1章より、いわゆる「地声張り上げ」に近い表現として扱われてきたベルティングですが、これはある種「シャウト」に近いものだと説明されていました。
「シャウト」とは読んで字のごとく「叫ぶこと」ですが、ハードロック好きであれば、「シャウト」と聞くとイアン・ギラン的な鋭いハイトーンのアレを思い出す方も多いことでしょう。
実際、今回のStoneyさんの講義は、ベルト発声の概念をつかった「ハードロック的ハイトーンシャウト」の方法の説明になります。ミックス、そしてヘッドボイスに用いていくことで、ハードロック的なハイトーンシャウトを作っていく・・・そんな感じですので、イアン・ギランやロブ・ハルフォードを歌いたい人、要チェックです!
改めて、ベルト発声とは
ベルトとは、単に実声の張り上げというだけでなく、多くの含みがあるワードのようです。
ベルトとは「自然に出せる声区を超えて発声すること」です。
第一部、第二部では、次のような「ベルティング」を聴くことができました。
- チェスト持ち上げ
- 地声風ミックス
しかし、さらなる方法として、チェスト、ミックス、ヘッドの各声区に対して、「ベルトっぽさ」を加えていく、ということができるようです。どういうことでしょうか?
ベルティングのさらなる活用ー「ベルトっぽさを加える」
「ベルティング」は、一般的に「シャウトの一種」とされています。
チェストボイスを持ち上げてシャウトする、叫ぶということは、普段よく行います。その際は、シャウトは誰でもコントロールできています。
しかし、ミックスでのシャウトは普段あまり使われることはないでしょう。今回の動画では、そんなミックス、そしてヘッド域において、安全にシャウトっぽさを加えて発声することが説明されています。
シャウトぽさの表現方法
- 口から出す
- 口の形は縦に長く
- 喉仏の位置を高く
- 「すっごい明るい」鼻腔共鳴
- Raspy(参照:ロックなハスキーボイスの出し方(sing with rasp))
この方法論はチェスト、ミックス、ヘッドすべての音域でベルト要素を増大させるのに役立つようですね。
参考例:”Gethsemane”
1971年初演のロックミュージカル「Jesus Christ Superstar」でのハイライトの楽曲で、最後の晩餐の後の処刑前夜にイエスがその苦悩を表現する場面で歌われます。
下記は2000年verです
オリジナル版のLPはディープパープルのイアン・ギランが歌っていました。
この楽曲ではG5という非常に高域のシャウトが使用されており、楽曲のドラマチックさを盛り立てています。
こういう歌声ですから、たしかに、ep1でやったようにチェストのベルトだけでは、声を枯らしてしまいます。そもそもそれでは声を出すことさえ無理な気がします。
しかし、ミックス、ヘッドと声区を移動しつつベルトすることで、力強くシャウトが可能なようですよ。
Belting Tips
- 常に同じ呼気量を維持、高音域でもラウドにせず、キープ
- 常に鼻腔共鳴、チェスト〜ヘッドとどの音域でもキープ
- 口の形を縦長に開くなど、シャウトっぽさを加える
練習方法:猫ちゃんのモノマネエクササイズ
ハードロッキンなベルティングには、なんと「猫のモノマネ」が有効なようです。
具体的には、「MEOW」の発音で1度と5度を行き来する練習をします。
「M」で鼻腔共鳴、「E」で舌を持ち上げブライトな音色にして口から音が出るようにし、「O」でベルト的口の形をつくり、「W」で響きをヘッドに持ち上げます。
無理やり声を押し出すことなく、男声、女声とも同じスケールで練習します。
まとめ
ハードロック的シャウトは、ヘッドボイスでベルト発声
口の形は縦長く、鼻腔共鳴を強めて口から音を出す その際喉仏の位置は上がる
猫エクササイズで感覚を養う
…応用編の内容となりますので相変わらず理解が乏しい部分もあるのですが、おおむねこんな感じかと。
stoney氏の”Gethsemane”は、彼がハードロック専門ではないので音色がやや丸い感じですが、よりハードロック的にシャウトしたければ、例えばtamplin氏の「ah」エクササイズでさらに鼻腔共鳴を高めるのが有効かもしれませんね。
シャウトをベルト発声という方法論で説明されているのは新鮮でした。ナチュラルな音域からベルトするからこそ、シャウトはパワフルかつエモーショナルに聞こえるのだろうなあ、とも。
なかなか力強いシャウトができず困っている方は無理のない範囲で是非トライしてみては?
ではまた。