Rock Vocal Tips

海外ボイトレ情報ほかロック歌唱研究ブログ

コピーバンドのボーカル必見!?憧れのバンドを「世襲」したボーカリスト達

      2017/04/29

ボーカルライフ

rockstar

「ロック・スター」という映画をご存知でしょうか?
有名バンドのコピーバンドをやっていたボーカリストが、あるときなんと本家バンドに見出され、そこのボーカリストになるという、ぼくたち歌い手の端くれの端くれとしては、なんともロックンロールな夢のあるお話です。

この映画の元ネタとなったのはJudas Priestのロブ・ハルフォード→ティム・リッパー・オーウェンズのボーカル交代劇だったといわれていますが、ネットが発達した現在、実はそれ以外にも、同様にコピーバンドをしていたことで本家のボーカリストに就任した、という例が増えてきています。

本日は、そんな「カバー→本家」へと躍進を遂げたアメリカンドリームな事例を数件、ご紹介いたします。

Judas Priest:ロブ・ハルフォード→ティム・リッパー・オーウェンズ

judas priest

現在はロブが戻ってきておりますが。先の「ロック・スター」の元ネタとなったのがこちらです。

Judas Priestはあの名作「Pain Killer」発表後、ボーカルのロブ・ハルフォードが脱退して、その後任探しに四苦八苦していました。
そんなある日、ドラマーであるスコット・トラヴィスが1本の演奏ビデオを持ってきました。演奏するバンドの名は『British Steel』。Judas Priestのアマチュアのコピーバンドです。

そこでボーカリストを務めていたのがティム・リッパー・オーウェンズでした。映像をみたJudasのメンバーは彼のボーカルのクオリティに驚愕し、即ロンドンでオーディションをやり採用します。Judas Priest参加時のライブ映像は下記です。

アクションがちょっとぎこちないですが、歌声はホンモノ(?)ですよ。

Journey:スティーヴ・ペリー→アーネル・ピネダ

80年代に隆盛を築いたJourney。「Open Arms」「Don’t Stop Believin’」「Separate Ways」などそれはもうヒット曲がたくさんあるわけですが、1996年以降バンドの顔であったボーカルのスティーヴ・ペリーが音楽活動から離れ、Journeyは低迷期を迎えていました。

そんな頃、ギタリストのニール・ショーンはYoutubeでヒット曲「Faithfully」のカバーを見つけます。アーネル率いるフィリピンのバンド、ザ・ズーのライブ映像でした。多分下記の動画ですね。

いやあめちゃくちゃうまいし、何より声質がそっくりです。
これに衝撃を受けたニール・ショーンは、Youtubeを通じてアーネルに連絡を取りました。
アーネル側は当初まさかホンモノのJourneyから連絡が来ると思っておらず、悪い冗談だと思ったそうです。(そりゃそうだ)。

なお、wikiによると

ちなみに、入国審査官に渡航目的を聞かれ、「ジャーニーのオーディションを受けに」と答えると「じゃあ『ホイール・イン・ザ・スカイ』を歌ってみろ」と言われ一節歌ったところ、あっさりと入国が許可されたという。

こういうエピソード、ハリウッド映画みたいでいいですね…。
事実、この一連のボーカリスト交代劇はドキュメンタリー映画にもなりました。


ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン [DVD]

BOSTON:ブラッド・デルプ→トミー・デカーロ

boston

ボストンはトム・ショルツのソロプロジェクト的バンドですが、そのサウンドに色づけしたのは素晴らしいハイトーンボイスを持つブラッド・デルプでした。
しかしながら彼は2007年に若くしてこの世を去ります。そんな折、ホームセンターのクレジットマネージャーとして働いていたトミー・デカーロは、追悼のためカラオケに合わせて歌ったボストンの曲をMySpaceで公開。

ボストンの音源ほど作り込まれていない感じではありますが、確かな実力を感じさせますね。
この音源がトム・ショルツの目に止まり、2008年夏のツアーよりリードボーカルとして参加することなったのだとか。

YES:ジョン・アンダーソン→ベノワ・ディヴィッド

yes

「Roundabout」「Close to the Edge」などで知られるプログレッシブロックの代表格、Yes。結成時からのボーカリスト、ジョン・アンダーソンは、少年のような独特のハイトーンボイスを操る稀有なフロントマンでした。

しかし2008年、彼は体調を崩しバンドから離れます。その代役として抜擢されたのがベノワ・ディヴィッドでした。中心メンバーのベーシスト、クリス・スクワイアに見出されたらしいですが、これもまた、スクアイアがディヴィッドのやっていたトリビュートバンド、「Close to the Edge」のYoutubeの演奏動画を見つけたから、でした。

見事な演奏・歌唱です・・・。

「世襲制」となったモンスター・バンド

いかがだったでしょうか。
特にネット時代になって、有能な「似ているボーカリスト」を見つけやすくなったことも影響しているのでしょう。トリビュートバンドをやっているアマチュアにはなんとも夢のある時代になりました。
Judas Priest、KISSのギタリストなんかも熱狂的な信者が交代して加わりましたよね。

また、往年のモンスター・バンド達の「高齢化」という観点も見逃せません。
メンバーが脱退したり、くらいなら良いですが、老齢となりかつてのパフォーマンスができないとか、病気になったとか、あるいは死別してしまったりとか。年齢に伴う様々な苦難がバンドを襲います。特にボーカリストはフィジカル的な要素が強いので、その困難はより大きいでしょう。

そんな苦難にぶち当たった時、最早メンバーの一存ではどうにもできないほどの大きな看板を持ったバンドはどうすべきなのか。

それに対するソリューションのひとつが、「似ているメンバーを加える」なのでしょう。
それはある意味歌舞伎や落語の世襲制のようで、ロックが一つの「伝統文化」となるその萌芽が感じられるような気がします。

しかし、日本のバンド界ではあまりこういった例はあまりないように思います。例えばL’Arc〜en〜CielのHYDEの声がでなくなったとしても、その代役で青木隆治をボーカリストに立てる、ということはありえないでしょう。日本のバンドは、その看板よりも、もっと属人的なものなんでしょうね。
アニメ界なんかでは、ルパン三世の声優がモノマネの人に変更になったり、といった似たような現象が起きていますが。

他にもこういった例がありましたら是非コメント等で教えてくださいね。
ではまた。