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フジロック炎上に思う、ロックと政治性の変化について

      2017/04/29

思ったこと

FujiGreenStage

By Jmills74 at the English language Wikipedia,

フジロックがSEALDsの奥田氏らを出演させるってことがネットで軽く炎上しています。どうもリベラルな政治活動をしている彼らを参加させることに対して、いわく「音楽に政治を持ち込むな」ということのようで。

この言説は、旧世代のロックファンからするとちゃんちゃらおかしいです。それは勿論、彼らにとって、「ロックが政治的」なんてことは当たり前のことだから。エルビスやビートルズは当時の大人社会の強い非難を呼びました。それだけ、既存の社会通念を揺るがす「危ない」ものだったわけです。

とはいえ。その「ロックが危なかった」時代を通っていない世代にとっては、その「政治性」が肌感覚でわかり辛いというのもまたあるのだと思います。
ぼくは平成生まれですが、このブログでも記している通り、どちらかといえば古いロックのファンで、正直どちらの言い分もわかる部分があるし、少し違うんじゃないかと思う部分もあります。

どうもネット上でやり取りされていることにモヤっとした部分があったので、自分の中での整理という意味も込めて、今回は世代間のロックの認識の違いについて書いていきたいです。

「政治的だった」ロック

先述の通り、ロックは明らかに「政治的な音楽」です。というより、「だった」、という方が正しいのかもしれません。

フジロックの青写真は多分1969年のウッドストックですが、これはその時代性、フリーライブとなった経緯も含めてラブ&ピースなリベラル集団の理想郷として今なお存在しています。

この時、ロックはピカピカの最新鋭の「危険な音楽」でした。ジミヘンのファズの効いたギターは既存の体制を破壊する文字通り「雑音」だったのです。

フジロックもまた、そんな理想郷の精神性を受け継いでいるように思います。なので、リベラルな思想を持つ人々が舞台に上がることは、文脈的に全然おかしくないですし、以前からもんじゅ君なんかがステージでパフォーマンスをしているわけで、何を今更、という感じでしょうか。

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引用:http://blogos.com/article/44606/

だから、従来のロックファンが「?」と思うのはすごいよくわかります。

ロック転じて福となす

一方で、彼らは、今回フジロックを糾弾しているような比較的若い世代にとって、ロックが何なのか、という認識が欠けているように思います。
彼らにとって、ロックとは90年代以降のいわゆる「ロキノン系」がそれに該当するんじゃないでしょうか。

90年代とは「ロックが死んだ」と叫ばれて久しく経った頃で、革新性の最先端はヒップホップにその席を譲っており、ロック音楽は不自由のない中産階級のものとなっていた。つまり、社会構造の変革やらなんやら、そういったことを起こす求心力をとうに失っていたんです。

そんな時代、ロックは「政治的な変革」ということに対してリアリティがなく、それよりはみんなでシンガロングして盛り上がったり、あるいはモッシュで体と体をぶつけ合う、よりフィジカルでスポーツのようなものになってきていたのではないでしょうか。

フジロックとは、そんな90年代に日本に生まれてきたフェスで、現在エンタメ業界で旋風を巻き起こしている「フェス産業」の第一人者です。

そうした文脈を過ごしてきた人たちにとって、フジロックは夏休みのアウトドアイベントであり、気持ちよく汗のかける音楽イベントである。しかもフリーなわけがなく、結構なカネもかかります。高度に産業化されているイベントなんです。

なので、そんな人々の立場からは、「カネ出して気持ちよく遊びに来ているのに、なんでよくわからん奴らの政治的な意見を聞かねばならんのだ」、という。しかも好きなアーティストならともかく、音楽家でも何でもない兄ちゃんがそれをやるとすると、なんだかなあとなるのもわかります。

高いカネを払ってフジロックにいける人々に、あえて世界を変革しようなんてモチベーションはないんです。
これは、社畜として働いているぼくにとっては大変身に染みます。

つまりロックは死んだのではなく、転じたのだ。…これはとある本の受け売りですがね。


オルタナティブロックの社会学

まとめ

こうしてみると、上の世代の言い分もわかるし、若い世代の感覚もよくわかるんじゃないでしょうか。ただ、どちらの陣営も、互いに少し不寛容だし、お互いのことをあまり知らないのでは、なんておもいます。「政治性のないロックなどロックではない」というので新しい音楽を楽しめていないというのならそれは勿体無いし、「政治と音楽を一緒にするな」といって音楽が本来持つ政治性から目を背けるのもクールじゃないですぞ。

だから、みんなフジロックに行って色んなロックを聴こう。幸いにもレッチリからベックから仲井戸麗一からBABYMETALから八代亜紀まで、もはやロック?の展覧会とでもいうような幅広いラインナップ。世界を変えられるかは分からないですが、今まで知らなかった音楽に出会うことで自分の世界は変えてくれるのでは。

http://www.fujirockfestival.com/

…と、こんな感じでフジロックについて熱心に書いたら、だれかチケットくれる、なんてことはないですかね・・・?
シガーロスみたいでやんす…。

ではまた。