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高音域の歌い方:ヘッドボイスの出し方のコツと練習方法

      2017/04/30

ボイトレ情報

本日のテーマは「ヘッドボイス」。以前から度々扱っておりますが、なんとなーく理解はしているつもりのものの、結構定義が様々であやふやだったりしますよね。

今回は明朗な説明でおなじみ、ニューヨークのボイストレーナー、ジャスティン・ストーニーさんによるヘッドボイスについての動画を勉強していきたいと思います。
最近、ボーカルの話題が少なかったんじゃないかという感じがしており、今回はがっつり理論的?です。
ヘッドボイスって何?って方から、よく知っているという方まで、何かしら得られるものがあるネタになっておりますので、是非ご一読くださいね・・・!

改めて、ヘッドボイスとは

ストーニーさんは、以下5点でヘッドボイスを説明しています。

1.CricoThyroid(輪状甲状筋)が優勢

ヘッドボイスとはすなわち、「輪状甲状筋」が優勢的に働いている状態のことだといいます。
ボイトレ情報をかじっている方ならば一度は見たことがあるこの「輪状甲状筋」ですが、以下のような筋肉になっています。

輪状甲状筋

喉頭を傾けさせるような機能を持つ筋肉だそうですね。こちらが優勢のとき、声帯が引っ張られ、声のピッチが高くなります。
これがヘッドボイスの原理になるそうです。

2.声の柔軟性

以前、同シリーズのチェストボイスの話題を扱ったとき、実声では「ボーカルの強度に影響」という話題がありました。

一方で、ヘッドボイスは声の柔軟性を高めます。
柔軟性を高めることで、声はアジリティを得て、ビブラートが出来るようになったり、ピッチを正確にコントロールしやすくなります。

3.高音域開発

そしてなにより、ヘッドボイスは、張上げではない高い音域の歌唱が可能にします。
チェストボイスでは厚く声帯を使うというのは以前扱ったとおりです。
一方、ヘッドボイスでは薄く声帯を使います。声帯の接触が弱まって早く声帯が振動するので、高音域の発声が容易になるんですね。

4.ヘッドボイスの響き

ヘッドボイスとは文字通り、「頭に響く声」です。
これはすなわち、声帯伸びていることを意味するそうです。これは前述の通りですね。

5.ヘッドボイス論争

ヘッドボイスは定義がまちまちで混乱が多いワードです。
いろんな論点があるのですが、特に混乱をきたすのが、男声と女声のヘッドボイスは異なる、ということだとか。

どちらの性別でも、喉頭が傾き、声帯が伸び、頭に響き、声帯接触が少なくなる、といった原理は同一です。

しかしながら、ストーニーさんいわく、男声のヘッドボイスでは、声帯がくっつき、チェストがミックスされます。一方、女声のヘッドボイスでは、チェストがミックスされないそうです。

実例として、男声では、Snow Patrolの「Chasing Cars」、女声では映画「マイフェアレディ」から「I could dance all night」があげられています。

ストーニーさんのデモが4:16あたりから聴く事ができますが、男声では軽く頭に響きつつもファルセットにならない声として歌われているのに対し、女声では完全に実声ではない声で発声されていますね。

ヘッドボイス開発Tips

さて、実際ヘッドボイスはどのように開発していけばよいんでしょうか。
ここでストーニーさんはいくつかのヒントを例示してくれています。

1.まずは呼吸からはじめる

そうです。呼吸です。しかしながら、この呼吸は、チェストボイスのそれとは異なります。

誤解しがちですが、ヘッドボイスは輪状甲状筋の働きによって生まれるため、発声のためにたくさんのブレスは必要ないんです。
なので、チェストのときの呼吸法は一旦おき、小さなブレスでやってみることが良いとか。

2.喉仏は「広げる」

よくボイトレ界では、「喉仏の位置」が重視されます。特に、喉仏が低い位置であることが奨励されやすいです。

しかしながら、ストーニーさんは喉仏の位置にあまりこだわりません。
なぜなら、喉仏の位置というのは、正解があるわけではなくスタイルによってまちまちで、また、ヘッドボイスも様々な喉仏の位置で発声されるからです。

それよりも必要なのは、「広げる」という意識だそうです。
声に対する「硬さ、強さ、圧力」をもとめてはいけません。
「圧を減らし、息を多く」する意識で喉仏を「広げる」イメージを持つことで、よりよいヘッドボイスを作りましょう、とのこと。

3.発声は「MM」練習

ヘッドボイスには、鼻腔共鳴が大切です。
鼻腔から頭に響きを持ち上げることで、ブライトな響きをつくります。

「MM」または「NN」「NG」といった発音で練習することで、そんな響きの感覚を身につけることが出来ます。

慣れてきたら、母音にトライしましょう。「OOH」または「EE」でやるのが良いようです。

4.思い切って「アノ人」みたいに練習

チェストボイスは一般に話し声の声区です。
なので、誰しもがチェストボイスを定義しやすく、すぐに発声することができます。
一方、ヘッドボイスは多くの人は普段使わないので、イマイチ感覚がつかみ辛いのです。

しかしながら、一定数「ヘッドボイスで話している人」、いますよね。ストーニーさんも例示してくれていますが、こういう人、身近にも「いる」と思います。
なので「その人」になりきってモノマネ練習するというのも一つヘッドボイスを体得する手のようですね・・・。

5.ヘッドボイスはオプションではない

「ベルト」「ミックス」「ロック」・・・。様々な発声法、声区があります。
しかし、どんな発声をしたい人にも、ヘッドボイスは有用です。

なぜならば、「ヘッドボイスは声の柔軟性を高める」からだと、ストーニーさんは言います。
それは、アスリートが運動の前後にストレッチするようなものです。声帯をしっかり伸ばすことで、声を健康的に保つことが出来ます。
ですので、ストレッチの感覚で毎日の練習にヘッドボイスのメニューを組み込むと良いようですね。

エクササイズ:VWOHM 6-4 4-1

9:20前後からです。
6度の音を使うのは珍しいですね・・・。少ない息で、頭に響かせる意識でトレーニングしましょう。
男声と女声とも同じスケールで練習できるので、9:48あたりから是非トライしてみてくださいね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

個人的に新鮮だったのは、「喉仏の位置」に関する話題です。

日本語のボイトレ情報では必ずといっていいほど「喉仏の位置」に言及されるヘッドボイスですが、海外のヘッドボイス講座動画を見ている中ではあまり言及されていなかったのは不思議に思っていました。声の安定性やほしい音色を狙って喉仏を下げる、ということはあっても、ヘッドボイスを発声する結果喉仏が下がる、というわけではないのかもしれません。誤解していたら恐縮ですが。

また、ヘッドボイスを「ストレッチ」として理解するアイディアもなるほど、と思いました。

カラオケにいったときなど、まず最初にヘッド域の曲を歌うとその後調子がいい、というのは経験則として個人的にあったんですが、どうやらそういう効果があったからなんですかね。ちなみに個人的にはガンズの「Sweet Child O’mine」がいい感じです。

ではまた。