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声を明るく抜け良くする鍵は、「鼻声」?

      2017/04/29

ボイトレ情報

本日のテーマは、「TWANG(鼻声)」についてです。

以前、「鼻腔共鳴と鼻声の違い」を扱ったエントリーで、「鼻声」は喉仏が上がり、鼻腔への響きが薄いタイトな声というものだということを勉強しました。

一般には「悪声」の部類に入る「鼻声」ですが、そのエッセンスを取り入れることで、歌声の表現の可能性を広げることができるのだそうです。

今回もまたニューヨークのジャスティンさんの動画で学習していきます。

TWANG(鼻声)とは

解剖学的に説明すると、「aryepiglottic sphincter(披裂喉頭蓋括約筋)」が狭められることによって生じるブライトな音色、とのことです。

…全くどういうことかわかりません。
図で見てみたいと思います。

披裂喉頭蓋
http://www.mc.pref.osaka.jp/

図の中の、披裂喉頭蓋ひだという箇所がありますが、このあたりが狭まるものとぼくは理解しました。この辺り、詳しい方ご指摘があれば教えていただければ幸いです。

ブライトとダーク

さて、なぜここが狭まると、音が「ブライト」になるのでしょうか。そのためには、まず声の「明るい、ブライト」と「暗い、ダーク」という音色の違いについて考える必要があります。

鍵になるのが「倍音」です。

倍音(ばいおん、独: Oberton、英: overtone[1]、harmonic sound[1]、harmonic overtone、harmonics)とは、楽音の音高とされる周波数に対し、2以上の整数倍の周波数を持つ音の成分。1倍の音、すなわち楽音の音高とされる成分を基音と呼ぶ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%8D%E9%9F%B3

…小難しいのですごいざっくり書くと、「ド」とか「ラ」とか特定の音を歌っていても、実際にはその音だけでなく、厳密に分解するともっともっと高い音が鳴っているんです。

そして、この時の倍音のなり方が、音の波形の形、つまり音色を変化させるのです。

倍音
http://info.shimamura.co.jp/digital/knowledge/2014/09/34946

で、この倍音による音色変化は、人間の「声」でも同じです。

  • 声が明るい、ブライト:高い倍音を強調
  • 声が暗い、ダーク:低い倍音を強調

そして、楽器の筐体と同じで、共鳴するスペースが小さいほど、鳴りはブライトになります。ですので、披裂喉頭蓋括約筋が狭まると音がタイトに明るくなるんですね。

実際、声をTWANGにして明るさをコントロールする方法は次の通りだそうです。

  • 喉仏をあげる
  • 歌口を広げる
  • Eの母音のように舌を縦に
  • 軟口蓋を下げる

TWANGがなかなか理解しにくいという方も、声真似からはじめると、そのきっかけをつかみやすいようです。

次の人々の真似がわかりやすいのだとか。

  • アヒル
  • 悪ガキ
  • オークションの競売人
  • ロボット
  • オタク

鼻声が使われている歌の例

話し声でTWANGを理解したら、次は歌に転用していきましょう。

まず例示してくれているのは、カントリーの名曲「You are my Sunshine」。たしかに、カントリーの歌声は、このブライトな音色がしっかりとハマります。

カントリーでは、ほとんど TWANGな音色で歌ってくれましたが、少しだけそのエッセンスを加える、というようなことは、クラシカルな歌声においても有用なようです。

そこで次に、『West side story』の「Maria」でTWANGありとなしを例示してくれています。

ありのものはなしのものに比べ、明るさが増して声がはっきりしているのがわかるかと思います。

また、ポップス・ロックにおける「ベルティング」にもこのTWANGの要素をみつけることが可能です。


EDMのアンセム「Titanium」で例示してくれています。

コーラス部分の高音域で、通常ファルセットに突入しますが、ここで後ほど記述のTWANG練習による声帯の閉鎖を交えると、原曲のようによりパワフルに歌うことができるのだそうです。

TWANGのメリット

ブライトな音色

TWANGは鼻腔共鳴とは異なるそうです。
これは以前扱った「鼻声と鼻腔共鳴の違い」の回での議論の通りですね。鼻声を切り分けて扱えることで、音色変化でもメリットは大きいようです。

声帯閉鎖を容易にする

高音域で声帯を閉鎖する、いわゆるミックスボイスの足がかりになると思われます。

息量を増やすことなく、大きな声を出すことができる

低音がカットされることで、音の抜けが良くなります。そのため、ブレスを増やさないでも音量を稼ぐことができるんですね。

エクササイズ

NAANの発声で1−3−5−8−8−8−8−5−3−1と音階を移動して練習します。

男性、女性とも同じ音域で行うようです。
高音域で裏声またはヘッドに移行しても全然大丈夫だそうですが。無理に押し出さず、TWANGな音を維持しましょう。

まとめ

  • TWANG(鼻声)は鼻腔共鳴とは異なるブライトな声
  • TWANGの要素を取り入れることで声に明るさを加えられ、抜けが良くなる

一般には「悪声」の部類に入るTWANGですが、こうしたトレーニングをすることで、声に新しい要素を加えていくことができる、という点が何より重要な点かと思います。特に声の通りが悪くて悩まれている方は、実践してみてもよいかもしれませんね。

ではまた。