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カラオケメーカーの人に見てほしい、インターネットカラオケマンからのご提案

      2017/04/29

思ったこと

karaoke2

世の中では色々な事件が日々起きていますが、ぼくが最近とても気になっているのは先日twitterで取り上げたこの記事。

小さな裁判の一判決ですが、ネットの片隅でほそぼそと歌っているぼくにとっても他人事ではありません。
判決文まで読んだところ、つまりは「Youtubeから消せ、他のサイトでも上げるかもしれないから、録音のデータも消せ」とのことです。損害賠償はないものの、訴訟費用が負担になるので数万円程度の支払いは生じたんじゃないかと思います。裁判に赴く負担も含め、ユーザ側としては「好きな歌のカラオケをネットで公開していた」という程度の行動の対価としては痛いですよね。

・・・まぁ「ネットでカラオケ音源をあげないようにしましょう」で以上終了なんですが、いちカラオケ好きとしては、「堂々とカラオケ音源をネットに上げられたらなぁ」と常々思うこともあり、何だか判決を読んでいてモヤモヤしてしまいました。

そこで今回は、本件を深堀しつつ、「こういう運用はできないのか」という前向きなご提案を、カラオケメーカーさんに向けてしていきたいと思います。何企画なんだ・・・。

なぜ、SNSでカラオケ歌唱を上げることができないのか

そもそも、なぜカラオケで歌った映像や音源を投稿してはいけないのでしょうか。
先ほどの記事を引用しながら少し整理していきたいと思います。

ということで、第一興商のカラオケ音源を使って歌う映像をYouTubeにアップする行為が第一興商の著作隣接権侵害になるという点は法律的には明らかです(判決文もめちゃくちゃ短いです)。

第一興商が「レコード製作者の権利」を主張し勝訴(栗原潔) – 個人 – Yahoo!ニュース

・・・どういうことでしょうか?ポイントは著作権と著作隣接権の違いです。
以前音楽周りの著作権についてはかじったことがあるのですが、著作権が「アーティスト、作家本人の権利」であるのに対して、著作隣接権はレコード会社など「録音をした人、事業者の権利」であるといいます。カラオケメーカーもまた、アーティストの楽曲を使って打ち込みという形で新たに「録音」しているわけで、その音源に対しては「著作隣接権」が発生するということですね。

アーティストの権利たる著作権はYoutube等のサービス側がJASRAC等の著作権管理団体と包括で契約を結んでいるので、例えば弾き語りなどでカバーをして投稿したとしても、権利の侵害には基本当たりません。

しかしながら、カラオケメーカーの権利たる著作隣接権は、カラオケメーカーにユーザが別個で許諾を得ない限りは侵害に当たります。そして今回の判例の通り、カラオケメーカー的には「カラオケ音源を使って歌をアップロードすること」は基本的にNGだというわけです。

「DAMとも」との競合

しかしながら、ネットで素人のカラオケがアップロードされていたところで、一体どれだけの損害なのでしょうか。実際に投稿者はカラオケ店に行き、料金を払って歌っているわけですし、そのカラオケ音源をYoutubeで見たユーザが「カラオケに行かなくてもいいや」となることはまずないでしょう。むしろどちらかといえばカラオケ行きたいなーと思うんじゃないでしょうかね。

先の記事でも指摘されていましたが、法律的に厳格な運用をしていこう、ということより、自社サービスとの競合問題というのが実際のところかと思います。例えば、先の原告第一興商は「DAMとも」というSNSを展開しています。

DAMとも

DAMともは基本無料→プレミアム会員制のシステムを採用しており、無料版では投稿可能数などに制限があります。
ですので、本来ならばDAMともで課金して投稿されるべき音源が、Youtube等のほかのプラットフォームに投稿されてしまえば、不利益を被るということになります。
だから見せしめ的に訴訟をすることで、カラオケ歌唱音源を他プラットフォームへ投稿しようというユーザを牽制しようという狙いがあるのではないでしょうか。

ご提案:ユーザを抱える他社サービスとの提携

さて、「カラオケをネットにあげるな」といってしまえばそれまでなのですが、実際にカラオケ歌唱動画・配信を行っているユーザは多くいて。ツイキャスなどでは手軽にはじめやすいことから人気コンテンツのひとつなのではないでしょうか。 つまり、ユーザのニーズはあるんです。それを訴訟という形で潰してしまうのは、短期的には自社サービスの価値を守れているようでいて、実は結構機会損失なのではないかなあと思います。先の訴訟された方も、恐らくは相当なカラオケ好きだったでしょうに、もう二度とカラオケには行くまい、と思っているのではないでしょうか。

そこで、人知れずカラオケメーカーさんにご提案なのですが、「自社でユーザを抱えることは諦めて、店舗への送客に専念する」というのはいかがでしょう?

DAMともやうたスキといったサービスは、個人での配信がまだまだハードルが高かった時代、カラオケ店の機材を使って簡単にネットに音源をあげられるということで人気を博したサービスでした。
しかしながら、スマートフォンで誰でも簡単に録音、録画ができ、個人のユーザが多くの人々に向けて配信等できるサービスが数多い現代は、DAMともやうたスキの登場した10年ほど前とはビジネス環境が大分変化しているように思えます。

であれば、Youtube、ツイキャスなどユーザが多く相性の良いサービスと提携して、カラオケ音源を配信に使ってよいという環境を整えるのが良いと思います。
そうすることで、ユーザはカラオケを気軽にネット配信でき、カラオケメーカーはそんな「ネットに歌を投稿したい」というユーザをちゃんとカラオケ店に送客でき、機器の売り先である店舗はそれで儲かり、皆幸せになるのでは。

なお今現在2社の寡占状態である通信カラオケ機器ですが、これは先にやった方の会社が有利だと思います。
例えば、「○○の端末ならば後ろめたいことなくカラオケ配信できる」ということが知れ渡れば、ユーザは積極的にそちらの端末を選ぶでしょうし、その端末の稼働率がよければ、店舗は積極的にそちらのメーカーの端末を導入しようとするような気がします。・・・チャンスだと思いますよ、エクシングさん?

・・・カラオケメーカーの方、ユーザの声として是非ご活用ください。
ぼくは、よりよいカラオケライフが実現することを願っております。
ではまた。