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究極のボイストレーニング:メッサ・ディ・ヴォーチェとは?

   

ボイトレ情報

いつの間にやら5月も半ばが過ぎました。最近、今までできなかった”裏声”が目覚めつつあり、声に幅が出てきたように思え大分テンションが上っている私です。仕事は絶賛五月病中ですが声を出すモチベーションはますます上がっておりますね。

さて、一度裏声的な弱い声が使えるようになると、今度は強い声と弱い声の間の「裂け目」が気になってきました。そんな「裂け目」での操作性を高めるトレーニングとして、以前ご紹介した『最高の声を手に入れるボイストレーニング フースラーメソード入門(日本実業出版社)』において「究極のボイストレーニング」と表現されていた「メッサ・ディ・ヴォーチェ(Messa Di Voce)」という方法があります。

【書評】『最高の声を手に入れるボイストレーニング フースラーメソード入門(武田梵声、日本実業出版社)』

書籍の中で非常に明快に説明されているのですが、デモ含めもう少し詳しい説明を知りたいなあ…と思っていたところ、ニューヨークのトレーナー、ジャスティン・ストーニーさんの動画を見つけました。

本日はこちらの動画をみながら、この「メッサ・ディ・ヴォーチェ」というトレーニング方法について勉強していきたいと思います。

メッサ・ディ・ヴォーチェとは

「もしメッサ・ディ・ヴォーチェができれば、”ボーカルの神”になれるのか」という、視聴者から寄せられた不思議な質問で動画は始まります。これに対して、ストーニーさんは、「メッサ・ディ・ヴォーチェはほとんどのボーカルスキルを網羅し、ボーカルの英雄、いや、神に到達する」というような返答をしています。なんとも大げさな文句です…笑 一体これはどういったものなんでしょうか?

一言で言うと、「単音で、ごく小さな音から少しずつ大きくして、またそこから小さく戻していく」というような発声練習方法です。1:35あたりでデモンストレーションをしてくれています。

イタリア語で、Messaは「置く」、Di Voceは「声」というような意味だそうです。いわゆる発声配置とは異なるそうなのでご注意下さい。

メッサ・ディ・ヴォーチェはクラシックの伝統的な練習方法だそうですが、クラシック以外にも大変有用であるとのことです。大きく次の3つのメリットが説明されていますね。

1.声帯の操作性が高まる

ソフト→ラウド→ソフトと遷移するときの声帯のコントロールで、あらゆる声帯の組み合わせを行います。これがいわゆる「ミックスボイス」を発声するときの声帯の働きに近く、ミックス開発に大変役立つそうです。

2.喉頭の操作性が高まる

メッサ・ディ・ヴォーチェがしっかり働くことで、多様な喉頭ポジションがマスターできるとのことです。

3.表現力が高まる

メッサ・ディ・ヴォーチェでボリュームコントロールをマスターすることでソウルフルでダイナミックな表現が可能になります。

メッサ・ディ・ヴォーチェの応用:Bring Him Home (Les Miserables)

メッサ・ディ・ヴォーチェがいかに楽曲に命を吹き込むのか、その良いサンプルとしてミュージカル「レ・ミゼラブル」より「Bring Him Home」を歌ってくれています。3:40頃からです。メッサ・ディ・ヴォーチェの押して引く感じがよく働き、歌が生き生きとしています。4:15より同じ曲をただソフトに歌うデモをしてくれていますが、こちらは前者と比べ大分淡白な印象になっていますね。

メッサ・ディ・ヴォーチェをマスターする5つのコツ

1.ブレスコントロール

メッサ・ディ・ヴォーチェをマスターするには、ブレスコントロールがとても重要だそうです。声を大きくする際には呼気を多く、小さくする際には呼気が少なくします。加えて、空気を一気に吐き出さず、滑らかに流して上げる必要があります。たとえとして自動車のアクセルが挙げられていますが、音を大きくする際は徐々にアクセルを踏みこむように、逆に小さくする際は静かに離すように、というイメージだそうですね。

2.ピッチコントロール

メッサ・ディ・ヴォーチェの一番難しいポイントのひとつは、ピッチが変わってしまいがちなところだそうです。音を大きくするとシャープ、小さくするとフラットしがちなんだとか。ボリュームが変わってもピッチを支えるよう、ピッチを常に意識してトレーニングしましょう。

3.声帯閉鎖のコントロール

歌をうたうとき、小さい音は柔らかくブレッシーに、大きい声のときは張り上げ硬い音になりがちです。
メッサ・ディ・ヴォーチェでは、小さい音のときに息漏れにしすぎず、大きい音のときに声帯を閉鎖しすぎないようにトレーニングします。難易度の高い大きい音から小さい音に戻る部分も閉鎖を保つよう意識して取り組むとよいそうです。

4.喉頭のコントロール

一般的に、ロウラリンクスはオペラティックでボリューム感あり、ハイラリンクスはポップでマイク向きの音量感になります。メッサ・ディ・ヴォーチェを滑らかに行うためには、ラリンクスの動きを最小限に抑えると良いそうです。音が大きくなるにつれわずかにロウラリンクスに、小さくなるにつれ徐々にハイラリンクスにするそうです。

5.共鳴コントロール

一般的なボーカル知識では、強い音は胸で、柔らかく軽い音は頭で響くと教えられています。メッサ・ディ・ヴォーチェではこの共鳴の感覚を逆にしていきます。柔らかい音は胸で、ラウドになるにつれ頭に響きを移行するイメージを持って取り組むとよいそうですね。

エクササイズ:HAH−EH−EE−EH−HAH

単に同じ母音でなく、強い母音を柔らかい音で、逆に重い母音を強い音で取り組むことで、メッサ・ディ・ヴォーチェの効果の最大化を狙います。弱−中−強−中−弱の階層イメージです。上記の5つのコツを頭に入れながら取り組んでいきましょう!とのこと。

まとめ

いかがだったでしょうか。
メッサ・ディ・ヴォーチェというトレーニングは「声を操作する能力を底上げすること」という感じを受けました。地声と裏声、チェストとヘッドをそれぞれ強化した後、その操作性を高め、歌に落とし込んでいく…。声の全てを操るというのが、なるほど確かに”神の技術”って感じです…!
応用して、もっと弱い声OR強い声まで含めたり、歪みのあるなしまで扱ったりするのも良い練習になるかもしれません。

ぼちぼち暑い季節になってきましたが、「ボーカルの神」を目指して頑張っていきたいですね。
ではまた。