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クリス・コーネル(Soundgarden, Audioslave)のような歌い方

   

ボイトレ情報

偉大なロックシンガー、クリス・コーネルがこの世を去ってしばらく経ちました。Soundgarden、Audioslaveなどといったモンスターバンドは彼無くしてはありえなかったでしょう。シンガーとしての力量もやはりものすごく、声質、歌い方、表現等どれも超かっこよく憧れる要素しかないわけです…。

本日は、そんなクリス・コーネルの「歌い方」について、考えを深めていきたいと思います。
クリス・コーネルの歌が素晴らしいのは自明ですが、それはなぜなのか、彼の歌声の特徴は何なのか、そういった点から伝説となってしまったシンガーに迫っていきたいなぁ…と。ではどうぞ。

クリス・コーネルの特徴:ベルティングとディストーション

ヒントになりそうな動画があったのでこちらを見ていきたいと思います。オンラインでボーカルコーチをしているフィルさんの動画で、クリス・コーネルの特徴的な「ベルティング」スタイルについて解説しています。ベルティング、ベルトとは、 高音を力強く、 地声を持ち上げて歌うスタイルのことで、クリス・コーネルのソウルフルな歌唱表現の中核をなしています。

「ベルティング」については、こちらを参照されると理解が深まるかもしれません↓

ソウルフルな地声の高音発声!ベルティング(Belting)の方法

フィルさんの動画がちょっと長いですが、要点は2つだと思われますね。1つ目は、「母音の変形」、そして2つ目は「クリーンのベルトからはじめよう」ということです。

クリス・コーネル風歌唱は「a」の母音から

フィルさんは動画の冒頭より、クリス・コーネルのスタイルは言葉を変形して歌うことがポイントだとおっしゃています。
重要なのは、「a」の母音です。
SoundgardenのOutshinedの一節、「I got off being sold out~」という箇所で例示してくれています。どうやらそのまま歌うと、薄くなりすぎる、というようなことをおっしゃっていますね。クリス・コーネルは歌唱時、aの母音の形に近づけるようキープしたまま歌っており、それによってあの力強いサウンドを引き出しているようなのです。
2:50あたりからゆっくりのテンポで極端に「a」を加えたデモをやってくれています。確かに、クリスぽい感じがします。
なお、「やりすぎてはいけない」ということもおっしゃっています。自然に聞こえるように、ほどよい塩梅で「a」を加えることが大切なようです。

ディストーションをやる前にクリーンのベルトを

「a」に母音変形していくだけでも大分それっぽくなりますが、やはりヘヴィなロックを歌うには少々物足りません。クリスのように歌うには、がなりたてるような、声の歪みがほしいところです。フィルさんはこれを「ディストーション」と呼んでいます。

ディストーションについては、以下のエントリーも併せてご参照いただくと理解が深まるかも。

ディストーションボイスとは一体何なのか、簡単に解説してみた

フィルさんも実際に例示してくれています。
しかしディストーションで張り上げると声が重くなり、痛めがちなため、まずはクリーンでの方法からしっかり身につけるのが良い、というようなことをおっしゃっています。 高い音域での張り上げ(ベルト)は、いわくクリーンで行うほうが難しく、ディストーションでやるほうが簡単なようですね。ただ、痛めないような按配を掴むのが難しい、ということなのでしょう。

まとめ

単語の母音を変形して歌う

段階的にディストーションを加えていく

母音の変形はクリスコーネル歌唱の大きなポイントではないでしょうか。
クリスの場合、張り上げ部分では「a」ですが、それ以外の静かな部分では「i」「e」に近い感じで歌うことが多いように感じます。音量の変化やがなりの有無でメロとサビを歌い分けることでサビを際立てる、という方法がロックではとられることが多いですが、クリスはそこに母音の変形も加えてよりその対比を鮮やかなものにしているように思いますね。

ディストーションについて、クリスは若い頃かなり強い歪みを多用していましたが、近年はアコースティック系が多くなったのもあり、枯れた味わいの軽い歪みでより歌のうまさをダイレクトに感じることができます。彼のように歌うには、痛みなくディストーションできるようになるというのがまず最初のステップですが、歪みの重い軽いを自在にコントロールしていけるようになるのが理想ですね。

なんとかぼくもクリス・コーネルの曲を覚えて歌い継ぎたい。
ではまた。