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「歌が上手い」を分解して考えると、あなたの本当の課題が見えてくる、かも

   

思ったこと

皆さん、歌、うまくなりたいですか?
ぼくはなりたいです、すごく。

ところで、「歌がうまい」っていうのは一体どういうことなのでしょうか。よく、「○○がうまい」「××がヘタ」というような議論が散見されますが、どこか曖昧です。好みの問題も大いにありますしね。ぼくは今Judas Priestのロブ・ハルフォード氏を本当に上手いと思うし尊敬しておりますが、初めて聴いたときは、「何だこの気持ち悪い声は…ヘタじゃん」と恐れ多くも思ったものでした。FALSE METALでしたね。

コレに下手とか、ほんと恐れ多いですわ…。

…さて、この例でわかる通り、「歌がうまい」はそれくらいゆらぎのある概念だと思うわけです。とはいえ、目標が曖昧なままでは何をどうすればいいかわからず、練習もはかどらないというもの。ぼく個人としては、声については大分聴けるようになってきたなぁと思いつつ、「やっぱ下手だなぁ」とモヤモヤしており…。
ということで、今回は「歌がうまい」ということについて、少しぼくなりに整理してみることにしました。整理することで課題がみえてくるかなぁと。
やや概念的なお話になりますが、お付き合いいただければ幸いです。

「歌が上手い」を「基準がある・なし」で分解してみる

考えるとっかかりとして、「歌が上手い」というのを少し分解してみます。
今回は、絶対的な「基準がある・なし」でそれぞれの要素をおいてみました。イメージは以下の通り。

それぞれについて、以下で説明していきます。

「基準のある上手さ」

ここでは、「ピッチ」「リズム」を挙げています。
これらについては、絶対的な「正しい」が決まっています。
例えば「ピッチ」に関して、ブルースでは1/4を、アラビア音楽では3/4を使う、hahaha平均律なんてお笑いだぜ、ホントに正しいのは純正律だよ…といったゆらぎはあるにしても、基本的には「正しいピッチ」というのは決まっているわけです。
リズムに関しても同様で、後ろ目でタメたほうがグルーヴが…みたいなことはありますが、基本的にはメトロノームに対してジャストが「正解」となります。

つまり、これらには「正解」があり、合ってれば合ってるほど「上手い」といわれるわけです。地道な訓練が必要だといえますが、やればやるほど確実に「正解」に近づくセグメントです。ぼくももっと意識的にやらねば…。

「基準のない上手さ」

しかしながら、音とリズムが合ってれば果たして歌がうまいのか、と問われると、「そうではない」と答えられる方も多いのではないでしょうか。そこで出てくるのが、この「基準のない上手さ」です。

ここでは、「声の音色」「声の強弱」「音の長さ」「装飾技巧その他」としております。

たとえば、「音色」に関してです。いわゆる「いい声」かどうか、というようなことでしょうか。クラシック歌手の華麗で豊かな響きの声を「悪い声」という人はあまりいないかと思います。うん、彼らはその意味で「いい声」といえます。
じゃあ、それが絶対的な「いい声」の基準かというとそうとも限りません。例えばしぼりだすようなシャウト系の音色はクラシックの世界では悪声そのものといえる声ですが、ロックの世界では一つの正解だと思います。

その他、「声が大きいか小さいか」「それらのつながりはどうか」「ロングトーンは長いか短いか」「ビブラートは…」みたいなも含めて、それぞれの音楽ジャンルに紐付いたマナー、流儀のようなものだとぼくは思っています。

なので、この「基準のない上手さ」の判定は、その「マナーに即しているかどうか」みたいなものかなあと。例えばお葬式にTシャツで参列すると確実につまみ出されるかと思いますが、一方で海でBBQをする場面で正装をしていたらかなり不思議にみえるはずです。同様にジャンルの流儀にそぐわない声色、技巧を使った歌声はどれだけ音程・リズムが合っていても「上手い」とは評されにくいのではないでしょうか。

まとめ

「歌が上手い」を「基準」を軸に分解して理解する

基準のあるものに関しては、それに合うよう訓練する

基準のないものに関しては、その流儀を学ぶ

いかがだったでしょうか。

「歌がうまい」を考えるにあたって、今回ぼくが提示した分解方法が唯一の正解ということはなく、ほかにも様々な切り口が考えられると思います。

しかしながら、「分解すること」そのものは、歌を上達するのにとっても役に立つのではないかなぁと感じており。というのも、「歌がうまい(歌がうまくなるには)」という問いは結構漠然としていて、ゆえにそう簡単に解消できるものではなく、ドツボにハマってしまうもののように思うからです。そこでこの大きな問いをバラバラにして一つ一つの小さな問いに切り出していくことで、自分の課題に向き合いやすくなるのではないでしょうか。

ポイントは、一度「網羅的に」考えることかと。ただ問いを小さく切り出してしまうと、例えば「ミックスボイスができれば歌が上手くなる」というような発想に落ち着きがちですが、ホントの課題は別の場所、例えばリズム感にあった…みたいなことは往々にしてありがちだと思います。

「歌が下手だなあ、うまくなりたいなあ」と漠然と悩むよりも、課題を切り出して対策していくことで、着実に成長していけるものと思います。是非ご一考下さい。…まあホント、自戒も込めて、ですね笑
ではまた。