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問題解決型ボイストレーニングのススメ

   

ボイトレ情報

最近、あまりにも仕事ができないので、ビジネス書とやらを色々と漁る日々が続いています。
特に最近の注力テーマは、「問題解決」についてです。


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意識高いぞ私…!しかしながらこのビジネスの世界で言うところの「問題解決」のメソッド、理解を進めれば進めるほど、実は結構そのままボイス/ボーカルトレーニングの世界にも応用できるのでは?という思いが膨らんできまして。というのも、ビジネスと歌の上達、テーマの違いはあれど、「現状の問題に対して改善を図っていく」という根底の部分で、結構共通している部分があると思われるためです。

「問題解決型のボイストレーニング」なんていう大げさなタイトルをつけましたが笑
今回はそんな「問題解決」メソッドを援用して、ボイス/ボーカルトレーニングの手順を再整理してみたいと思います。

「問題解決」とは

「問題解決」とは、「問題」を特定し、その「問題」の「原因」を追求し、それに対しての「対応策」を考え実行する、一連のプロセスを指します。

…一見当たり前のことを言っている感じがしますが、実際、これをこの通り実行するのは難しいです。多くの場合、「問題」と「原因」を深く考えず、とりあえず「対応策」を考えがちなので、「なんか色々やってみたものの、結局本当の『問題』は解決されていない」ということが起きてしまいます。

こういったこと、歌の練習においても往々にしてありますよね。例えば、「歌が下手」という「問題」があったとして、とりあえず今高音が出ていないため高音の練習という「対応策」をとり、結果高音が幾分出るようになったものの、歌はなんだか下手なまま…みたいな。もちろんそれでちゃんと上手くなる場合もあるとは思いますが、たまたまその人がとった「対応策」が当たっただけかもしれません。

ですので、「問題」を特定→「原因」の追求→「対応策」の考案/実行という順番が大事なんですね。
以下でそれぞれの詳細をご紹介していきます。

「問題」を特定する

「問題解決」のプロセスどおり、まずは「問題」を特定するところから始めていきます。

「目指す姿」を決める

歌における「問題」って、つまるところ「下手なこと」に尽きるかと思います。
しかしながら、「下手」ってどういうことでしょうか。「自分より上手い人がたくさんいる」ということかもしれませんが、逆に言えば「自分より下手な人」もいるでしょう。その場合、その人は「歌が下手」なんでしょうか。うん、よくわかんなくなってきましたね…。

そういうときは、自分のなりたい、「目指す姿」を思い描くことから始めましょう。
大好きなシンガーでもいいですし、部活の先輩とかでもいいかもしれません。そして、その人の歌声と自分自身の今の実力との間には、何かしらの差があることかと思います。この差こそが、ぼくらが取り組むべき「歌が下手≒問題」なのです。

なので、まず最初に「自分が目指す姿」を決めることが重要なんですね。

現状認識は全体を正しく捉える

次に、その差がどれくらいのものなのかを認識する必要があります。
そのために必要なのが現状認識、つまり、自分の今の実力を知ることです。
この場合、モレ・ダブリのないように全体の要素を捉えることが重要です。そうしないと、「ビブラートができないことが問題だと思っていたけど、実はリズムの悪さが本当の問題だったのだ…」というようなことになってしまいます。以前書いたこの記事も参考になるかも。

「歌が上手い」を分解して考えると、あなたの本当の課題が見えてくる、かも

差を認識して「問題」を絞り込む

「目指す姿」を決めて、現状を各要素に分解して認識しました。それぞれの差はどんな塩梅でしょうか。「ピッチもリズムも発声もテクニックも全部ダメですわ…」って感じかもしれません。まあ、「なりたい姿」のシンガーが上手ければ上手いほどそうなりがちですね…!
しかし「全部」となってしまうといくら時間があっても足りないので、取り組むべき「問題」を絞り込みましょう。その際は以下の3つの観点でみてみると、 「どの問題が重要なのか」見えてくるのではないかと思います。

1.差の大きいところ

差が大きいところは、いわゆる「伸びしろ」があります。この差が埋まることで大きく「目指す姿」に近づくことが出来きるでしょう。

2.すぐに上達できるところ

改善が容易なのであれば取り組まない手はありませんね!

3.波及効果が大きいところ

基本的な発声など、スキルの全体に関わるところは影響範囲が大きいので取り組むと効果が大きいですね。

「原因」を追求する

「自分の下手さ」が見えてきたところで、次はその「原因」を追求していきます。
この際、重要なのは、「なぜ」を繰り返して深く掘り下げる、ということです。

たとえば、特定された「自分の下手さ」が「高音が出ない」だったとします。
それに対して、すぐに解決策を考えるとすれば、「高音域を広げる」ということになりますが、これだとただ問いを裏返しただけで、具体的な策はなかなか取りにくいかもしれません。

ですので、この「問題」に対して、「なぜ」なのかを何度か繰り返し、「原因」を探すことで、より具体的にしていきます。
たとえば「高音が出ない」であれば、↓のような感じでしょうか。

この際、自分の直感で、「これが原因だろ!」とするのではなく、なるべく広く深く可能性を考えることで、より確からしい「原因」にぶち当たることが出来ます。ここまで見えれば、あと一息ですね…!

「対応策」を立案する

らしい「原因」が見えてきたところで、これに対する「対応策」を決めていきます。
とはいえ、何も0から新しく対応策を考えずとも、世の中にはたくさんの教本やHOW TOが転がっているので、これを当てはめていけばよいのではないかと思います。当サイトでも色々とご紹介していますしね笑

ここで重要なのは、自分の「問題」→「原因」の「対応策」としてふさわしいのは何かを「評価」することです。自分の「問題」や「原因」に合致しないメソッドを選んでも、期待する効果は見込めません。自分で判断することが難しい場合は、信頼できるボイトレの先生などに聞いてみましょう。

まとめ

「問題解決」は「問題」の特定→「原因」の追求→「対応策」の立案 の一連のプロセス

「歌の下手さ」:現状と「目指す姿」 の差で認識する

「下手さの原因」:「なぜ」を繰り返して深掘り

「下手の対応策」:複数のメソッドを「評価」してふさわしい方法を選ぼう

いかがだったでしょうか。
「問題解決」というと歌を考えるのに少々大袈裟な文字列ですが、要するに、「とりあえずなんか練習する」というのではなく、まずは「目標を定めて、その原因をみつけ、適切な練習方法を選んで練習する」とすることで、より効果的に取り組めるんではなかろうか、ということですね。「ボイス/ボーカルトレーニング」というと、各メソッドの良い/悪い、「とりあえず裏声」のような、「対応策」の話題が多いですが、意外と忘れがちなその前段が、実は上達の鍵なのでは、と思ったり。…まあ、まずは自分自身で実践してみます笑

ではまた。